時間という有限な宝―その操り方について
- orita90
- 6 日前
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時間という有限な宝 ― その操り方について
はじめに
弁護士の一日ってどんな感じなのか、どんなふうに時間を使っているのか。そんな質問を受けることがよくあります。特に後輩からは、「忙しい中でどうやって時間を管理しているのか教えてほしい」と相談されることも多く、私自身、日々の過ごし方について改めて考える機会にもなっています。
今回は、そんな声に応えるかたちで、「時間」をテーマにコラムを書いてみたいと思います。
どんな仕事?
弁護士の仕事というと、まず思い浮かぶのは依頼者との打ち合わせ、文献調査、裁判・調停期日の出廷などでしょう。裁判の都合上、コアタイムはだいたい午前9時半から午後6時くらいですが、それに加えて書面作成や新規相談への対応もあるため、終業時間は遅くなりがちです。
調停や裁判といっても、15分ほどで終わる期日もあれば、1〜2時間かかる調停、あるいは尋問で丸一日裁判所に缶詰ということもあります。
また私の場合、多くの案件を統括する立場でもあるため、後輩弁護士からの相談はひっきりなし。所内会議、依頼者との打ち合わせ、そしてメール対応……15〜30分単位の予定がぎっしりと詰まっている日も少なくありません。
そんな日々を過ごしていると、誰しも「時間が足りない」と感じるものです。でも、誰にとっても1日は24時間。つまり、時間は公平にして、そして何より有限なものなのです。
時間とは、操るもの
「Time is money(時は金なり)」。ベンジャミン・フランクリンの有名なこの言葉が示すように、時間は貴重な資源です。どれほど富や権力があっても、1日が25時間になるわけではありません。だからこそ、限られた時間をどう「操る」か、自分自身の手で有意義に使えるかが大きなテーマになります。
“時間を操る”というのは、単に予定を詰め込むことではありません。むしろ、自分の意思で時間に意味を与え、価値を生み出す行為だと考えています。
たとえば、忙しい日々の中でもほんのわずかな隙間時間を使って、本を1ページ読む、ストレッチをする、誰かに感謝のメッセージを送る。そんな小さな積み重ねが、やがて自分を形づくっていくのです。
「深呼吸10回」がもたらす余白
実は私自身、特に忙しい時ほど「時間を意識しない時間」を意識的に作るようにしています。その一つが、“深呼吸を10回だけする”という方法です。
慌ただしく過ごしていると、脳も身体も緊張状態になってしまい、思考も狭くなりがちです。そんな時、ほんの1〜2分、目を閉じて深く息を吸って吐くだけで、不思議と心が整い、再び目の前の仕事に向き合う余裕が戻ってくるのです。
時間がないからこそ、あえて立ち止まってみる。そうすることで、逆に時間を“取り戻す”こともあるというのは、体感としても強く感じています。

過去と未来のあいだにある「今」
私たちは、過去の経験から学び、未来に希望を描きながら生きています。しかし、どれだけ過去を悔いても、未来を憂いても、実際に動けるのは「今この瞬間」だけです。
今日という一日をどんな思いで過ごすか。何に時間を使い、何を残すか。それがやがて、後悔のない過去になり、意味のある未来につながるのだと思います。時間は、今日という1ページに自分の手で何を書くかの連続です。
日常に刻む「時間の意識」
スマートフォン、SNS、次々と届く通知。私たちの生活には、集中を妨げる誘惑があふれています。だからこそ、意識的に“今ここ”に立ち戻ることが大切です。
たとえば、朝にコーヒーを飲みながら日記をつける。夜寝る前にその日一日の小さな「ありがとう」を思い出して書き出す。そんな習慣を通して、時間の流れを自覚し、豊かに過ごすことができるようになります。
結びに
時間は有限。だからこそ、その一瞬一瞬がかけがえのない宝です。忙しいからといって流されるのではなく、時に立ち止まり、深呼吸し、自らの意思で時間を「操る」。それは、人生を自分の手で形づくるということに他なりません。
未来は予測できませんが、今日を丁寧に生きることは、私たちに唯一できる“時間への投資”なのです。
最後まで読んでくださったあなた、なかなかの“読解力”と“集中力”の持ち主とお見受けします。次回もこっそり、お時間をいただけると嬉しいです。
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