ご紹介という複利
- orita90
- 7 日前
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更新日:6 日前
―信頼が信頼を呼ぶ、士業の本質的な成長戦略―
■「紹介」の力は、単なる口コミではない
士業の世界において、広告やネット集客も一つの手段ではありますが、私が実感として何より強く信じているのは「紹介の力」です。しかもこの紹介には、単なる“口コミ”を超えた「複利的な力」があると感じています。
複利とは、利息が元本に組み込まれ、それが次の利息を生むという金融の概念です。士業における紹介もまた、最初の信頼が次の信頼を呼び、さらにその信頼が別の紹介を生み……というように、時間とともに雪だるま式に信頼が蓄積されていきます。
■信頼の連鎖が自然に広がっていく
たとえば、ある離婚案件で依頼者の不安に丁寧に寄り添い、納得のいく解決を導けたとしましょう。その方は「この先生なら信頼できる」と感じてくださり、友人や家族に勧めてくださる。その紹介で来た方もまた、別の相談者へと繋げてくださる……。このようにして“信頼の連鎖”が生まれていくのです。
紹介というものの面白さは、時に予想もしない方向からやってくることにもあります。
実は過去に何度か、「かつて係争関係にあった相手方」から、後日ひっそりと相談を受けたことがあります。当然ながら、弁護士倫理の観点から多くの場合はお断りするのですが、そのようなご相談が来ること自体に驚かされます。
たとえ法的には対立する立場であっても、誠実な姿勢で向き合えば、その仕事ぶりが“信頼”として残り、それが思わぬかたちで返ってくる――まさに紹介の複利が“敵すら味方に変えてしまう”ほどの力を持つことの証です。
■「誠実な実務」が信頼資産を育てる
こうした紹介が連鎖していくためには、ひとつひとつの案件に真摯に向き合う姿勢が不可欠です。感情をコントロールし、丁寧に、誠実に、透明に対応すること――それが、見えない“信頼資産”となって蓄積されていきます。
私の場合、弁護士だけでなく社会保険労務士・税理士としての知識も活かし、企業の法務・労務・税務をトータルで支援しています。たとえば最初は「従業員の解雇で困っている」という相談だったとしても、やがて「人事制度も見直したい」「相続対策にも手を打ちたい」と、相談の幅が広がっていくことがあります。
このような包括的な対応ができるからこそ、「あの先生なら、何かあっても任せられる」という信頼が生まれ、それがまた新たな紹介を生むのです。
■熟成されていく信頼と、その実り
紹介という複利は、すぐに結果が出るものではありません。むしろ、数年後に突然「昔お世話になった○○さんから聞いて」と連絡がくることもあります。まるで、時間のなかで熟成された信頼が、思わぬタイミングで“実を結ぶ”ような感覚です。
士業の世界は、ひとつひとつの対応が将来の信用をつくる積み木のようなものです。誠実に積み重ねていけば、それが紹介というかたちで実り、また新たな出会いにつながっていく。そしてその出会いを、また誠実に重ねていく――信頼のネットワークはそうして広がっていくのだと思います。

■「信頼される人」であり続けるために
デジタル化が進み、AIが契約書を作成するような時代になっても、「信頼される人間であること」の価値は、決して揺らぎません。だからこそ私は、今この瞬間の相談者に、真摯に向き合い続けることを選びます。
紹介という複利は、あなたの背中を静かに、しかし確実に押し続けてくれる大きな力です。そしてそれは、誠実な実務という“種まき”をした人だけが、将来手にできる果実なのです。
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